代わり映えしない日常

平々凡々な日々の覚書

【小説】鈍色幻視行

実は私にとって初の恩田作品でした。

私にとって、気にはなっているけど手が出しづらいという作家さんの一人。

 

今作は新聞かネットの書評を読んで、気になっていた作品でした。

たまたま図書館に立ち寄ったら書棚に残っていて、これは読まねばなるまい! と思い借りてきました。

ハードカバーで700ページ近い大作。

読み切れるのか、めちゃくちゃ心配しましたが何とか読了。

正直、大変疲れました。

 

書評で面白い形態の作品だな、とは思っていたのですが内容についてはほぼ真っ白な状態で読み始めました。

なんとなくミステリ要素があるんだろうな、くらいの軽い気持ち。

読み進めても、読み進めても、大きな事件が起こるわけでもなく、人々がずっと会話している。

自分自身と向き合っている。

不安や後悔に支配されている。

そう感じた作品でした。

ミステリだと思って読み始めた私には、なかなか辛いストーリー展開。

それでもラスト100ページくらいになると、大きな謎が解き明かされるんだろうな、と期待して読んでいたのですが・・・。

カタルシスを感じることもなく、淡々と物語は終幕したのでした。

ミステリじゃ、なかった、よね・・・?

 

後で私も登録している読書系のSNSの感想を読んだら、賛否両論の作品だったようで、なるほどな、と思った次第。

嵌る人はものすごく嵌るだろうし、劇中作にあたる『夜果つるところ』を読んだら、また感想は変わるかもしれないですね。

残念ながら、今の私には読んで面白いと感じる時期ではなかったようです。

また時間を空けて、ご縁があれば再読出来たらな、と思う作品でした。

 

余談ですが、作中の登場人物Qちゃんが読書中、心の癒しでした。

 

鈍色幻視行

著者:恩田陸

出版社:集英社