代わり映えしない日常

平々凡々な日々の覚書

【小説】切り裂きジャックの告白

仕事が忙しい時など、イライラが止まらない時は何か逃げ道が必要だと思う。

私の場合、逃げ道が小説やマンガであることが多い。

イライラが募ると就寝前にイライラの原因を思い出して眠れなくなる。

すると余計にイライラするという悪循環を繰り返す。

こりゃアカンって思ったら目に悪いとわかっていながら、スマホを起動させ電子書籍アプリを立ち上げる。

とにかくイライラの原因を忘れられるような作品を読むとすぐに睡魔が訪れ、あっさりと眠れる。

一番良いのは幸せな気分にさせてくれる短編小説や、少女漫画なんだけど、意外とミステリも効果的だったりする。

先月の終わりから仕事が忙しいので、今回は図書館本を1日1章就寝前に読んだ。

おかげでゆっくり眠れた。

作品の内容としてはグロテスクだったけど。

 

私の本の選び方は気に入った1冊の本があると、同じ作家さんの作品をとにかく読みまくる。

すべて読了するか、今の自分とは合わないと思ったら次へ作家さんへと移っていく。

今の私は中山七里氏の作品を読みたいと思い、手に取った作品が刑事 犬養隼人シリーズの1作目『切り裂きジャックの告白』

実は映画化された同シリーズの『ドクター・デスの遺産』は映画館に見に行った。

内容にも興味を持ったけど、当時、主演の綾野剛さんに嵌まっていて見に行ったんだろうな、たぶん。

おかげで今作を読むにあたり、犬養=綾野剛さんで脳内変換がかかったわ。

 

臓器がきれいに切り取られた遺体が見つかった。

臓器は遺体周辺では見つからないため、犯人が持ち去ったようだ。

犯人の狙いがわからない。

警察は必死に捜査を行うが何の物証も得られないなか、第二の事件が起こった。

 

読みながら作品の中にちりばめられた小さなエピソード、伏線を回収しようと思ったのだけれども、見事に作者の掌の上で転がされていた。

そうですよね。

そんな簡単な事件じゃないですよね、と思いながら事件の真相へと向かう。

 

以下、個人的な感想。

これはミステリ作品としては説得力に乏しいなと思った。

謎解き寸前までは面白かった。

この作品はミステリという皮をかぶった臓器移植に対する考察だと思う。

そういう意味では大変興味深く読むことができた。

この作品が書かれた時代からそれなりの時間が経ち、臓器移植の賛否、人の死の定義について世論がどうなっているのか私はわからない。

今もドナーとなる人は少ないだろう。

しかし臓器移植に対して拒否感が強いかというと、私はあまり感じない。

マスコミもあまり多く扱わなくなった。

新聞を読んでいるとたまに臓器移植が行われたという記事が小さく掲載されている。

その記事をちゃんと読んでいる人ってどれくらいいるんだろう、と思う。

基本的に当事者にならない限り、人は無関心だと思う。

 

切り裂きジャックの告白

著者:中山七里

出版社:KADOKAWA