代わり映えしない日常

平々凡々な日々の覚書

【小説】わたしの幸せな結婚

新しい本との出会い方。

これがなかなか難しい。

以前なら本屋で表紙にひとめぼれや友だちのおすすめで購入していた。

図書館でふらふらと書棚の間を歩きながら、直感で手に取ることもある。

朝刊に掲載される書籍の紹介や書評を参考にすることもある。

しかし最近はネットのお世話になることが多い。

書評サイトや作家のSNSを参考にすることもあるが、圧倒的に多いのがSNSの間に流れてくるマンガの試し読み。

この先が読みたいねん! ってとこで広告元サイトへの移動を促してくるやつ。

何作かこのパターンで購入したわ。

そのうちの1作品が顎木あくみ著の『わたしの幸せな結婚』だ。

 

SNSに広告として流れてきたコミカライズ版。

平凡もしくは冷遇されている主人公が、顔も良く地位も名誉もお金も実力もある男性と出会い、溺愛される系のお話。

最近多いよね。

絵柄はものすごく好みだけど、コミカライズって原作が終わってないとどこまで続くかわからないので手を出すのにすごく勇気いるからスルーしていた。

その後実写映画化となり、これまた気になりつつもスルー。

しかしある日、利用している電子書籍サイトでマンガの1巻が無料試し読み出来るようになっていた。

読むよね、もちろん。

読み終えた時、案の定「これ好き!」ってなった。

ちょろいぞ、私。

これは買わねばならんなって思いつつ、ちょっとだけ冷静になって原作である小説を購入した。

小説の方が情報量が多いし、何よりも物語はずっと先に進んでいる。

しかも次に出る巻(7巻)で完結っぽいぞっていうのが購入理由。

(補足:未完結。第1部が終わったという感じ)

 

物語としては『和風ファンタジーかつシンデレラストーリー。溺愛系』

名家に生まれながら、家族に疎まれ、使用人のように生きてきた主人公、美世。

彼女のもとに縁談が舞い込む。

相手は冷酷無慈悲と噂の若き軍人、清霞。

この2人が出会い、様々な事件を乗り越えながら心惹かれあい、タイトル回収となるお話。

 

ひと言でいうと王道中の王道。

大きな事件が起こるけど、まぁ先の展開は読みやすい。

大体予想通りなんで、作中の人物たちが悩み、苦しみ、傷ついていても心穏やかでいられた。

そして主人公2人が人目もはばからずいちゃいちゃする。

お客様放っておいていいんですか?

すっごい2人の世界ですけど、周りに人いますよね?

三角関係になるかと匂わせつつ、全く発展しない安心の人間関係。

 

冷酷無慈悲で口数も少ない。

でも実はとてもやさしいという設定である清霞。

・・・ほんまか?

確かに最初はそれっぽいけど、美世に対しては激甘だし、ちゃんと言葉にして気持ちを伝えているし。

美世以外へは辛辣な態度や言葉があったりするけど全然許容範囲。

むしろもっと厳しくてもいいよ。

当初の美世は正直、ちょっと苦手なタイプ。

ただ育ってきた環境という説得力のある設定があったので、結構すんなり受け入れることが出来た。

お話が進むにつれ、図太さというか逞しさが出てきて、私は大変好ましかったりする。

個人的には大和撫子な良妻でありつつ、肝っ玉母さんになった美世が見てみたいかな。

あと7巻を読んだときに、だいぶ年月が経ってからの美世と妹、香耶との再会を見たいとも思った。

 

読了後、今の私が求めていたのは、こういう作品なんだと思った。

怒涛のジェットコースター展開もいいけど、小さなハラハラと、穏やかでほほえましいいちゃいちゃがいっぱい摂取したかったんだと。

てなわけで、その後コミカライズ版も全巻購入。

珍しくアニメも毎週視聴するといういちファンが出来上がった。

 

【小説】わたしの幸せな結婚

著者:顎木あくみ

イラスト:月岡月穂

出版社:KADOKAWA

 

【マンガ】わたしの幸せな結婚

原作:顎木あくみ

作画:高坂りと

キャラクター原案:月岡月穂

出版社:スクウェア・エニックス